栄養ケアマネジメントは、患者さま一人ひとりの栄養状態を把握するとともに、食べ物の嗜好や食事の摂食機能に応じて栄養ケア計画を作成・実践することで、低栄養状態を予防し、病状回復を早めることに役立てていこうとするものです。
まず、身長・体重や食物アレルギーの有無、血液データ、摂食・嚥下機能など、患者さまごとに栄養スクリーニングを行い、リスク度を調べます。それを元に、個別の病状にあわせた栄養ケア計画を立てます。実行にあたっては、医師、看護師、言語聴覚士、介護職らとともに、喫食率、病状回復状況など情報共有しながら、多職種協働でおこないます。
- 外来栄養指導:通院されている患者さまを対象に、個別の疾患にあわせて、高血圧食、糖尿病食、脂質異常症食、腎臓病食、貧血食などの栄養指導をおこないます。ふだん召し上がっている食事内容を1週間記入していただき、それに基づいて具体的に注意点などご指導いたします。
- 入院栄養指導:入院患者さまを対象に栄養ケアマネジメントを行いながら、喫食率、嚥下機能状態などを検討しながら、個別に栄養指導をおこないます。
- ・集団栄養指導:糖尿病患者さま、透析患者さまとそのご家族を対象に、毎月定期的に実際に食事を調理しながら、必要なポイント説明を加えて10人程度の集団で栄養指導をおこなっています。
病気の快復には、食事摂取が大きく関与しています。
患者さま個別の栄養ケアマネジメントを実践し、「食べ物の提供から食べたくなる工夫への転換」を行うことが大切です。患者さまの嚥下機能に合わせた嚥下調整食(ソフト食)を提供し、誤嚥性肺炎の予防をするとともに、喫食率をあげて、栄養状態改善をはかり、病状の早期回復に努めます。
咀嚼能力すなわち、若干の送り込み能力、食塊保持送り込み能力、舌口蓋間の押しつぶし能力などにより5段階に分類されており、それぞれの能力に適した食事形態が設定されています。この嚥下調整食分類を参考にしながら、個別の患者の嚥下機能に合わせた食事を検討します。その際、形態をやわらかくしたり、トロミを付加したりしますが、見た目で食欲低下をきたさないような工夫を行うことにより、やわらかいゼリー状につぶしたものでも、ゼリー状のまま提供するのではなく、もとの固形の食べ物にみえるようになります。のどにつめやすい危険なおもちも、素材を変えて工夫した「やわらかおもち」にすると美味なお雑煮ができます。
介護医療院、通所介護において、定期的にご家族と一緒の食事会を実施しています。その際、嚥下調整食(ソフト食)の提供をおこない、ご家族にも召し上がっていただき、楽しみながら嚥下調整食についてご理解をいただいています。

メニューが選べる喜びを、入院中にも感じていただけるよう、
入院食メニューを数種類の中から選べる日が週3回あります。
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介護医療院は年4回、通所介護は毎月1回、旬の食材を取り入れた食事会を実施しています。
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当院では、食べ物が上手に食べられない方には「ソフト食」という食事を提供しています。
ソフト食とは、口の中で咀嚼(そしゃく)する時、舌で押しつぶすことのできる程度のやわらかさでまとまった形状となり、飲み込みやすい食形態であり、安心して召し上がっていただけます。
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入院中に四季折々の季節感や旬の食材を味わっていただくために、その月々の行事に合わせた「行事食」を提供しています。
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