当院リハビリのあらまし
一人ひとりの人生に目を向けて。
リハビリテーション科の基本方針

リハビリテーション(rehbilitation)とは、ラテン語で「re」再び、「habiris」という形容詞、「tara」という動詞語を表し、「再び〜に適したものにする」という意味です。人間が社会に適応し得ない状態になった時、再び社会に適応できる状態に戻すこと、すなわち「権利・資格・身分の回復」等の「人間らしく生きる権利の回復」「全人間的復権」を意味します。
私たち永生病院リハビリテーション科スタッフは、このリハビリテーションの定義に基づき、永生病院の「信頼される医療・保健・福祉を提供し地域の健康増進に貢献する」という基本理念のもと、地域に根ざした病院として、亜急性期・回復期・維持期・在宅への流れにおいてのサービスが要求されています。これら各期における円滑な社会復帰、在宅復帰を促すことが当院リハビリテーション科の方針と考え、適切な治療・ケアを提供することに最大限努力しています。

様々な疾患がリハビリテーションの対象になりますが、後遺症が残ることも少なくない脳血管障害等の場合でも、「治るところを治す」のではなく、一人ひとりの人生に目を向けて、最終的に、障害があっても在宅で「その人らしい人生を送ることができるようになる」ことを目標として取り組んでいます。

永生病院リハビリテーション科の体制

《一般病棟のリハビリ》

【ADLカンファレンス】

一般病棟では、まず早期在宅復帰を念頭において、病棟看護師はじめ多職種でリハビリの取り組みを行います。入院患者さまのADL機能(日常生活動作機能)について、リハビリスタッフ、管理栄養士、地域連携室スタッフ等と週1回カンファレンスを実施。リハビリの進行状況を職種間で情報共有するとともに、病棟での介助方法などについて、看護師、介護福祉士間で個人差のないよう、統一化をはかるとともに、日々の機能訓練により獲得した「できるADL」と、日常病棟で行っている「しているADL」を明確にし、この差をなくするアプローチを病棟スタッフで行っていきます。これにより、実用性のあるADL機能獲得につながります、また、管理栄養士から栄養ケアマネジメントの報告を聞き、喫食率の状況についても確認し、栄養状態悪化の傾向みられる際は、医師へ報告し、食事内容の検討を行うとともに、NST委員会においてもフォローが行われます。地域連携室スタッフは、退院後の在宅生活の場所について、施設となる予想があれば、早めにご家族への情報提供を行いご相談にのります。

【退院前訪問】

できるADL訓練から実用的なしているADLを獲得する病棟ADL訓練に加え、退院後、居宅での生活における問題点を早期に把握・解決し、円滑な在宅復帰を促すために、病棟看護師、ケアマネジャー等と協働し、積極的な退院前訪問指導を実施しています。退院前訪問で得たご自宅の環境や患者さまの生活歴などの情報を、多職種のスタッフにより、あらゆる角度から検討し、その患者さまにふさわしいプログラムを立て、さらに福祉用具、住宅改修の相談も併せて進めるなど、スムーズな早期在宅復帰に取り組んでいます。

《介護医療院のリハビリ》

病棟専従のリハビリスタッフが担当患者をもち個別のリハビリをおこないます。機能訓練室におけるリハビリを行うとともに、病棟において、トイレ動作、食事動作、食事後の歯磨き、ベッドへの移乗動作に関わりながら、実際の療養生活の中での日常生活動作(食事、入浴、移乗、排せつ、整容、歩行)を訓練します。ケアプランに沿って行い、「できるADL」と「しているADL」の差をなくすよう、病棟看護師、介護福祉士の介助方法を統一しながら実施取り組みます。
一般病棟と同様に、週1回のADLカンファレンスを行い、参加職種は、リハビリスタッフ、看護師、介護福祉士、管理栄養士、ケアマネジャー、歯科衛生士です。病棟看護師、介護福祉士は、栄養ケアマネジメントや、口腔ケア・マネジメントについても情報共有します。
栄養ケアマネジメントの結果で問題のある患者は、NST委員会でもフォローします。

嚥下機能訓練への取組み

脳血管障害や、肺疾患などにて、嚥下機能障害を有する患者数が多くみられ、誤嚥性肺炎予防のため嚥下機能訓練に取り組んでいます。経口摂取可能な患者には、嚥下造影検査を行い、嚥下機能を精査、その結果に合わせた適切な食事形態が提供されます。実際の食事摂取の場面では、言語聴覚士を中心に、看護師がかかわり、摂食・嚥下状態をチェックします。嚥下造影検査は定期的に行い、嚥下機能訓練にて機能が向上したら、食事形態を変更していきます。このような取り組みの結果、経管栄養から経口摂取可能となった症例もあります。

短時間の通所リハビリテーション

短時間の通所リハビリテーションは約1時間(10~11時)の「介護保険」を利用した通所リハビリテーションです。
医療保険のリハビリテーション期限が終了し、外来リハビリテーションが受けられなくなった方に、当院のリハビリテーション室で、理学・作業療法士が外来と同じように個別リハビリテーションを提供いたします。
長時間の通所介護を利用する時間がない方、入浴・食事・レクリエーションの必要がない方におすすめです。

訪問リハビリテーション

リハビリが必要にもかかわらず、脳血管疾患、関節リウマチ、パーキンソン病などの神経難病、肺気腫などの慢性閉塞性肺疾患、末期がん等で寝たきり状態で、外来通院が不可能な方を対象に実施しています。

【対象疾患】
脳血管疾患、関節リウマチ、骨折・変形性関節症などの整形疾患、パーキンソン病などの神経難病、肺気腫などの慢性閉塞性肺疾患、その他、リンパ浮腫など、ほとんどの疾患が対象となります。

【スタッフ体制】 スタッフ体制



初診の方、お困りの方へ
    Q.車椅子で通院し、リハビリを受けたいのですが…?
  • まずは外来にて、医師の診療を受け、どのようなリハビリが必要かを判断してからになります。必要に応じて送迎も行っておりますのでご相談ください。
    Q.耳が遠く、コミュニケーションがとれないのですが、リハビリに参加できますか?
  • 筆記で会話するなどの方法を用いながらリハビリを行いますので、安心して参加してください。
    Q.リハビリには、場合によって家族の同伴も必要ですか?
  • 基本的に必要ありません。家庭での生活においてご家族の介助が必要な場合は、その方法等について、患者さまと一緒に指導させていただいています。
    Q.外来や訪問リハビリでも、言語訓練は受けられますか?
  • 主治医が、言語訓練が必要と認めれば受けることができます。ただし、訪問リハビリについては、外来訓練が困難な方に限ります。
    Q.摂食嚥下リハビリは、どのようなことをするのですか?
  • 脳卒中の後遺症などにより、飲み込みが難しい方に対して、必要に応じて嚥下造影検査を実施し、姿勢や食べ物の形態、食べ方などを検討し、より安全にお食事がとれるようサポートします。
    Q.リハビリでは歩行などに必要な用具の相談にのってくれますか?
  • 個々の患者さまに適応した靴、杖、歩行器、シルバーカー等の用具を選定いたします。